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新着 //  れんげを誌面で紹介していただだきました。
記事掲載
台風の影響で12日の展示はお休みになりました。
ひとさじ展(東京代官山)
ワイス・ワイス(東京)納品
池田大介×町田翔 二人展
記事掲載していただきました
つむぎ(仙台)納品とその他のこと
日々花 納品
前田洋+町田翔 木のうつわ展


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    砥石


    刃物をつかうので、手入れに砥石は欠かせません。
    荒研ぎ、中研ぎ、仕上げ研ぎという流れで刃をとぎますので
    その工程ごとに使う砥石も用意します。
    荒研ぎは荒砥石、中研ぎは中砥石、仕上げ研ぎは仕上げ砥石です。
    つかう砥石の粒度は人それぞれです。

    ホームセンターで売っているあたりは、だいたい人造砥石です。
    中砥とかは茶色のキングとかが一般的でしょうか。
    中研ぎの粒度は#1000とか#2000あたり、仕上げ砥ぎなら#8000とか#10000。
    天然砥石は不均一なので粒度を特定することはできないのですが産地によってさまざま。
    中でも仕上げ用の天然砥石は特別に「合砥(あわせど)」と呼ばれたりします。

    天然ものは違うよね、というと、理屈がわからなくとも納得できる雰囲気をもっていますが
    合砥と人造とでは使用感も仕上がりもかなり違う、と思っています。
    というのはあくまで個人の好みで、
    人造(人工)砥石は粒度が安定しているのに対し、天然砥石は粒度にムラがあることもあり、
    しかも高価なものでも刃物と相性が悪かったり、不純物がはいっていたりでまるで使えないこともあるので、好んで人造をつかう方もいます。
    天然砥石はこっぱで(小さいもの)比較的安価で数千円から、上等なものだと数十万とかめまいがするものもあります。
    あたりはずれがあったり、個性がそれぞれあるので、選ぶのがめんどうなら人造がいいのでしょうが、仕上げは合砥、という方は結構多いと思います。

    人造の仕上げ砥では刃が磨かれても、研磨できてないんじゃないかなと、思うときがあります。きりっと刃がつかない感じ。
    刃物がよく研げることを、刃の下り(おり)がいい、とかいいますが人造仕上げは刃がおりず、合砥は刃がおりる感じ。
    じゃあ合砥は刃が磨かれないのかというと、そうではなくて
    刃を研いだときに砥石が削れて、水とまざって細かく泥のようになった砥くそができます。
    この砥くそが刃物とこすりあわされてさらに粒度がこまかくなり、刃が磨かれていく、、感じです。
    実際にはそんなに砥くそはでませんので感覚です。汗。

    使えば一目瞭然なのですが、人造砥石で仕上げると刃物が鏡面仕上げになってぴかぴかになり、合砥で仕上げると薄く曇った仕上がりになります。これは砥石がどれだけ細かい粒になっても刃を研磨しているからじゃないかなあ、と。

    また、天然砥石で仕上げると、刃が長切れするともいわれます。この理由は良くわからないです。
    硬化作用があるとかどこかで読んだ記憶がありますが、、、眉唾でしょうか。


    合砥がなぜ高価で、人造ではつくれない性質をもっているかという理由は希少性と歴史にあると思います。
    合砥は、海底火山などで積もった堆積物が地殻変動を繰り返し、地球上で唯一、京都の山に隆起した化石物だということなのです。
    うろ覚えですが、太平洋の赤道付近の海底だったとか。アンモナイトが砥石から発見されたこともあるそうです。
    地球上のどこかに似たような化石物はあるかもしれませんが、合砥とよばれる品は京都産でしかありえません。

    産地としての発祥は鎌倉時代、地殻変動の歴史は研究では2億年以上といわれています。
    2億年の地殻変動で圧力をかけて練りこまれた化石物…はんぱないです。

    わたしは正直、刃物とぐのうまくないし、種類もそんなに知っているわけじゃないですけど
    砥石をつかわない方にも、日本の合砥のすごさをちょっと知っていただきたいなとおもって記事にしてみました。

    この記事で伝わるかはとても微妙ですが興味がわいた方は包丁とぎに砥石、チャレンジどうでしょう。

    2015.04.16(Thu)





    えごま油~鉋などなど


    木のもののオイルフィニッシュに好んでよく使うえごま油
    最近TVでよく宣伝しているのを見ます。

    えごま油に多く含まれるα-リノレン酸が、血液をさらさらにする効果があるのだとか。
    火を通さずスプーンでひとなめするとよいそうです。

    私のカトラリーを使っても血液がさらさらにはなりませんが。
    カトラリーの木が潤ってつやつやになると思います。

    数年まえまではえごま油?みないな感じでしたが
    いまではお客さんに話が通じやすくてありがたいことです。

    最近はスーパーでもよく見かけるようになりましたので、入手が楽になりましたし
    ぜひご自宅に一瓶とりいれてみてくださいね。


    えごま油は空気に触れると硬化する油ですので
    木のもののお手入れに最適だと思っていて個人的にお勧めしています。
    あとはくるみ油もいいですね。
    使ったことはないですが、あまに油もよさそうです。

    以前、蕎麦屋の店主さんから、のし棒にえごま油をしみこませて使うという話を聞きました。
    (本人はやっていなかった)
    何度も油をしみこませて、木の動き(狂い)のないまっすぐなのし棒にするためだそうです。
    3年くらいねかせる人がいる、ようなことを聞きました。


    木には導管があって、空気を吸ったり吐いたりして呼吸するので
    湿気や乾燥にもろに影響されます。
    木のたんすが開かなくなったりだとか、生活のなかで経験はたくさんあると思います。


    影響しやすい木もそうでない木もいろいろありますけど。
    たとえば板の場合
    湿気が多いと、木の表面が空気中の水分を吸収して膨張します。
    テーブルや壁に接している裏面は空気に触れていませんのでそのままです。
    すると、表面のほうだけ膨らむわけなので木が反ります。

    逆に空気が乾燥しているときは
    表面が収縮して、裏面に膨らむかたちでそります。

    木の狂いがでないような材料選びや組み方は基本なのですが
    最終的には導管をふさいで狂いを少なくする塗装が必要なんですね。

    反ってしまった木は、膨らんでいる側に水分が多いので
    へこんだ側を濡れふきんなどで拭いて水分を与えてあげます。
    そうして塗れた面を台などに接する面にして伏せて一晩くらいおけば、反りがなおります。


    ねじれたりとか、そういうのはきれいには直りません。
    でも木としては、呼吸してあるがままでいるだけなので
    しょうがないやつだな、くらいに思うのがいいように思います。


    木を削る道具に鉋(カンナと)いうものがありますが
    この鉋の台も木なので動きます。
    鉋の台が狂うと、木がまっすぐ削れないので仕事になりません。

    鉋台は樫(カシ)の木という硬い木でできています。
    この樫の鉋台の狂いを直すために「台直し鉋」という鉋があります。

    台直し鉋の台も樫でできています。
    台直し鉋の台が狂ったら、鉋台が直せませんので、
    台直し鉋の台を台直し鉋で・・・などなど

    そして台の狂いを見極めるために、二枚の木を合わせて出来た下刃定規というものが必要なのですが
    この下刃定規も木なので、狂うこともあるわけです。
    下刃定規をまっすぐに削り直すには、長台という長い台の鉋が最適です。
    でも長台の台が狂っていると下刃定規が直らない・・・
    下刃定規がなおらないと、鉋台が直らない・・・というループにおちいります。

    下刃定規というものをはじめて知ったときかるく感動したのですが
    その感動は別の機会に、気がむいたら記事にします。

    学校で指物を習っていたころは、なにが原因でうまくいかないのかわからず途方に暮れることがよくありました。
    結局、道具をつくることから、なにもかもが未熟だったわけです。


    で、鉋台の狂いを防ぐために、油を吸わせて導管を埋めるということをしたりします。
    そばののし棒とおんなじですね。

    方法は省略しますが
    3日ほどかけて十分に油を吸わせると
    鉋台(カシの木)の導管の中の空気が全部油にかわり、台が狂うのを少しは防ぐことができます。

    油が浸透した分、重くなりますが、年数がたつと余計な油分が抜けて、最初よりずっと軽くなりました。
    このときは椿油をつかいました。
    椿油は乾燥しない油で、刃物の保存や手入れにいいので
    椿油を充填させた「油つぼ」というものをつくって、さびを防ぐためにもいつでも油を塗れるようにしてあります。


    そういう基本のことを学んで一応はできていたつもりでいましたが
    山形にもどって2年目ころの梅雨の時期、
    しばらく製作をしなかった間に、刃物のほとんどをさびさせました。
    まだ使える状態ですが、苦い思い出です。

    いまではカトラリーづくりのための必要な刃物道具は
    小刀と数本の鑿(ノミ)と小さい手鉋くらいです。
    多くの道具の犠牲がでましたが
    学んで無駄なことはなかったので、よいことにしたいと思います。


    ***


    という記事をかいてすぐのころ
    TVでこんどは日本の職人spみたいなのをみました。
    大工さんが日本家屋のヒノキの柱を無塗装でしあげていて
    鉋の薄削りが素晴らしかったです。
    薄削りの大会とかあるんですよ。アツイです。

    よく研いだ仕上げ鉋で材をしあげると、水をはじくのだとか。
    たしかに刃物で仕上げたものはつるつるで、サンドペーパーで仕上げ磨きする必要がないと思っていましたが、
    実際に水をたらして実証してみたことがなかったので、いまさらながらへえ~と関心しました。

    ちなみに大工さんの仕上げ鉋、鉋台が漆塗りで、えっ!てなりました。
    漆塗りの鉋台だったら狂わないだろうけど、はじめて見ました。
    台を叩かないと刃が出せないのだけど、どうしてるのだろう。

    木工とひとくくりにいっても、家屋、家具、工芸品、日用品、とそれぞれ世界が違って
    知らないことがたくさんあります。
    それだけ木を素材にそれぞれの分野で多くの生活の工夫がされてきたんですね。
    ということでまとめます。





    2015.03.26(Thu)




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